慢性非浸潤性上顎洞真菌症の画像診断

  • 乾 崇樹
    大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 寺田 哲也
    大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 菊岡 祐介
    大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 高木 春花
    大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 須藤 智之
    大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科 滋賀医科大学耳鼻咽喉科
  • 堀井 翔平
    大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科 滋賀医科大学耳鼻咽喉科
  • 鈴木 英佑
    大阪府済生会中津病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 野呂 恵起
    市立ひらかた病院耳鼻咽喉科
  • 鈴木 倫雄
    大阪鉄道病院耳鼻咽喉科
  • 河田 了
    大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • Radiological Evaluation of Cases of Fungal Mycetoma in the Maxillary Sinus

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抄録

<p>副鼻腔真菌症は病態により急性浸潤性,慢性浸潤性,慢性非浸潤性,アレルギー性の4つに分類され,このうち慢性非浸潤性が最も頻度が高い。これは通常一側性で上顎洞に多く,しばしば保存加療抵抗性で,病変除去のみならず浸潤性真菌症への移行を防ぐ目的で内視鏡下手術が行われる。</p><p>本研究では,慢性非浸潤性上顎洞真菌症の術前診断精度を評価するため,慢性非浸潤性上顎洞真菌症(真菌症群)と一側性慢性副鼻腔炎(CRS群)について後方視的に比較検討した。結果,副鼻腔単純CTで計測した上顎洞骨壁厚は後壁では真菌症群で有意に肥厚が強く,前壁では両群間に差はなかった(前壁;p=0.21,後壁;p=0.04)。またCTにおける洞内の石灰化濃度病変は真菌症群に有意に多く見られた(p<0.001)。さらに,副鼻腔単純MRIのT2強調画像における洞内の無信号域は真菌症群に有意に多く見られた(p<0.001)。対象例における画像診断精度は,CTにおける石灰化濃度病変の有無では感度0.688,特異度0.839で,MRI T2強調画像における無信号域の有無では感度1,特異度0.968であった。またCTで石灰化濃度病変を認めなかった例は真菌症群で有意に女性が多かった。</p><p>以上より慢性非浸潤性上顎洞真菌症の画像診断において,単純CTに加えて単純MRIを施行することが診断精度の向上に寄与し,特に女性においてその傾向が強いと考えられた。</p>

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