災害救援者の心のケア

抄録

要旨:本研究では「災害救援者の心のケア」の問題について考えていくまず第一歩として、「災害救援者と惨事ストレス」の視点から次のように順次、考察・検討された。(1)「災害救援者」とは、災害時に業務として救援活動に従事することが多い職務者のことである。(2)「惨事ストレス」とは、いわゆる災害における惨事に際して心身に生じるストレス反応である。(3)「惨事ストレスの心理的反応」には、1.高揚感、2.罪責感・罪悪感、3.同一化、4.被災者と災害救援者の関係から生じる心理的反応、5.怒りと不信、6.日常業務に対する意欲の低下がある。(4)「惨事ストレスの一般的症状」には、1.睡眠障害、2.悪夢、3.身体的生理的変化、4.過敏反応、5.過剰な警戒心、6.回避症状、7.悲しみ、8.精神麻痺、9.集中困難とイライラ感がある。(5)「二次的トラウマ反応」には、1.逆転移、2.燃え尽き、3.二次受傷、4.代理受傷、5共感疲労がある。(6)「惨事ストレスへの対処法」は、災害救援者の被災者へのかかわり方を災害救援者自身に適用したものと考えられる。(7)「災害救援者の心のケア」は、「日常的な対策」「災害現場での対応」「活動後の対策」がバラバラにならず有機的連関性をもって連続していくことが重要である。

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