インプラント周囲における軟組織封鎖性を考える

DOI
  • 熱田 生
    九州大学大学院歯学研究院歯科先端医療評価・開発学講座
  • 古谷野 潔
    九州大学大学院歯学研究院歯科先端医療評価・開発学講座
  • 鮎川 保則
    九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座インプラント・義歯補綴学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Reconsideration of Soft Tissue Sealing around Dental Implants

説明

<p>口腔インプラント治療は欠損補綴において重要な選択肢となっている.インプラント体を口腔内で機能させるためには骨組織との結合性が重要であることは以前から知られているが,その機能を長期間継続させるには軟組織による封鎖性が不可欠であることも忘れてはいけない.この封鎖機構は,天然歯周囲に存在する生物学的幅径と類似した構造を有している.しかし,インプラント周囲における封鎖機能は,天然歯周囲と比較して明らかに低く脆弱である.その原因として,骨に直接埋入される口腔インプラントの周囲では歯根膜が存在せず,解剖学的に血流が不足していることが挙げられる.さらに組織学的にインプラント体と接着する上皮などの封鎖構造が天然歯と比べて明らかに限局的で少なく,上皮細胞のチタンに対する接着性がそもそも低いことなどから,わずかに存在する接着構造も封鎖機能が低いとされている.そのため,このインプラント周囲における軟組織封鎖性を向上させるため,インプラント体の材質,表面性状,さらに周囲組織の細胞活性に関するさまざまな研究が現在も進められているわけである.このような基礎的研究に対する理解は,適応症例の選別やインプラント体や手技の選択,さらには軟組織を考慮したメインテナンスの実践に役立ち,インプラント治療の長期間の成功につながると期待している.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390295911804573056
  • DOI
    10.11237/jsoi.36.32
  • ISSN
    21879117
    09146695
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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