土壌水分欠損量による土砂災害リスク評価の試み

書誌事項

タイトル別名
  • Sediment Disaster Risk Assessment Using Soil Moisture Deficit:
  • A Case Study of Sediment Disasters of 2010-2011 in Niigata Prefecture, Japan
  • −2010年と2011年に新潟県で発生した土砂災害を例として−

抄録

<p> 土砂災害の多くは降雨によって誘起された表層崩壊によるもので,甚大な被害をもたらすものも多くある.その発生リスクの評価は社会の安心・安全にとって極めて重要である.集中豪雨や局地的大雨の増加傾向が認められる温暖化時代においてその重要性は益々高まっている.累積雨量やその類似指標の代わりに,本研究では土壌水分欠損量,つまり雨水を受容する土柱の余力を使って,土砂災害の発生リスクの評価を試みた.まず,既存のルーチンデータ(定常業務として取得するデータを指す)で任意の,あるいはすべての国土数値情報3次メッシュで土壌水分欠損量を計算する数値モデルを開発した.そして,2010年から2011年までの2年間に新潟県内で発生した446件の土砂災害に対し,発生した3次メッシュごとにモデルを適用し,発災前後の土壌水分欠損量が小さくなって,つまり土柱が全層飽和に近づいていたことを確認した.土壌水分欠損量が土砂災害リスクの良い指標となりうることが示された.さらに,発災前後の土壌水分欠損量の最小値データから,その確率分布モデルが構築された.この確率モデルにより,災害捕捉率に対応する,警戒態勢を取る土壌水分欠損量のしきい値が簡単に計算できる.ある時点の土壌水分欠損量と将来数時間の短時間雨量予報との組み合わせで早期警戒を行う可能性が示された.</p>

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