グローバル生産ネットワーク論の発展と論争

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タイトル別名
  • The Development and Controversy Surrounding Global Production Networks Theory:
  • Gaining “Hegemonic” Positionality in Anglophone Economic Geography?
  • ―英語圏の経済地理学理論における「ヘゲモニー化」?―

抄録

<p>    本稿は,21世紀初頭の20年間で英語圏の「広義の経済地理学」に急速に浸透し「ヘゲモニー化」したともいわれるグローバル生産ネットワーク(GPN) 論について,内容の整理・紹介,同論をめぐる成果や批判,論争の検討を通じて,同論の意義を考察することを目的とする.GPN論の独自性は,第1に非企業主体を取り込む一方で企業主体の一つとして戦略的パートナーを同定したこと,第2 に主導企業型と戦略的パートナー型の企業間ネットワークを提起したこと,第3に因果メカニズム解明のために3つの動的諸力を定めたこと,第4に企業戦略の4 パターンを見いだしたこと,第5 に地域経済発展を解明する新概念として価値獲得曲線および戦略的カップリングを提起したことに整理できる. <BR>    2010年代以降,GPN関連の研究が多数発表された.それらはGPNの定義の拡張,動的諸力概念の検証,企業戦略の分析,価値獲得曲線・戦略的カップリング概念と地域発展に区分される.さらに隣接領域である,国家,金融,労働,環境面での研究が増えた.他方,GPN論には地域的不均等発展に関する研究が不足しているとの批判もある.それに対してGPN論の主唱者は同論が大理論ではなく中理論であると反論し,また「ヘゲモニー化」などの賞賛論については慎重に受け止めている. GPN論の複数の概念は日本の経済地理学にも有用であることから,日本でも今後浸透する可能性をもつ.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390296143948483200
  • DOI
    10.20592/jaeg.68.1_4
  • ISSN
    24241636
    00045683
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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