臨床診断に苦慮したものの病理所見からたこつぼ症候群に伴う心破裂と推察することができた1例

DOI
  • 岡田 恒
    社会医療法人杏嶺会一宮西病院 循環器内科
  • 寺村 真範
    社会医療法人杏嶺会一宮西病院 循環器内科
  • 田中 伸享
    社会医療法人杏嶺会一宮西病院 循環器内科
  • 前田 拓哉
    社会医療法人杏嶺会一宮西病院 循環器内科
  • 旦 一宏
    社会医療法人杏嶺会一宮西病院 循環器内科
  • 市橋 敬
    社会医療法人杏嶺会一宮西病院 循環器内科
  • 葛籠 大地
    社会医療法人杏嶺会一宮西病院 循環器内科
  • 篠田 明紀良
    社会医療法人杏嶺会一宮西病院 循環器内科
  • 藤井 将人
    社会医療法人杏嶺会一宮西病院 循環器内科
  • 寺本 智彦
    社会医療法人杏嶺会一宮西病院 循環器内科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case in Which it Could Be Inferred Myocardial Rupture With Takotsubo Syndrome From the Autopsy Although It Was Difficult to Diagnose Based on Clinical Cause Alone

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説明

<p> 症例は79歳の男性.左肺上葉切除後,同部位肺アスペルギルス症のため当院呼吸器内科に通院中であった.自宅浴室で身動きがとれなくなっているところを家族に発見され救急搬送された.ヘモグロビン(Hb) 5.5 g/dLと高度の貧血を認めており,またトロポニンI 512 pg/mLと上昇,心電図上V2-V5誘導でT波が増高しており急性冠症候群(ACS)を疑い,冠動脈造影(CAG)を施行した.3枝に中等度以上の狭窄を認め,2枝で虚血陽性であった.しかしいずれも末梢まで遅延なく造影されておりACSを示唆する所見を認めなかったため経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は施行しなかった.左室造影(LVG)では心尖部下壁~心尖にかけて無収縮を認めていた.数時間後,排便時に悪心・意識レベル低下を認めたのち無脈性電気活動(PEA)となった.心肺蘇生(CPR)を継続しながら経皮的心肺補助法(PCPS)を確立しCAGを施行した.左前下行枝(LAD)末梢側に血栓様所見を認めたが,心停止の原因と考えにくく,心肺停止に伴う二次的な所見と考えられた.LVGでは心尖部から造影剤の漏出を認め左室自由壁破裂と診断した.ハートチームで外科的介入を検討したが検査中に原因不明の腹腔内出血を認めPCPSが回転不良をきたしており,救命困難と判断し永眠された.病理解剖を行い,たこつぼ症候群に伴う心破裂と推察した.また左肺と胸壁・心膜との強固な癒着,胸骨圧迫による横隔膜損傷により腹腔内に出血が及んでいたことを確認した.病理所見から病態を推測できた1例であり報告する.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 54 (5), 568-577, 2022-05-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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