イチョウの二次木部における通水様式

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タイトル別名
  • The pattern of water conduction via secondary xylem of <i>Ginkgo biloba</i>

抄録

<p> イチョウ(Ginkgo biloba)は、原始的な木本植物のひとつである。イチョウ二次木部の機能や組織構造を理解することは、木本植物の進化や環境適応性の解明において重要である。そこで本研究では、イチョウ二次木部の通水様式を明らかにすることを目的とし、立木染色法とcryo-SEM法を用いて萌芽枝および苗木の通水様式を可視化し、二次木部細胞の形態観察を行った。</p><p> 蛍光顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡を用いて、外側2年輪の染料分布を細胞レベルで観察したところ、年輪全体に染料が認められない軸方向細胞が散在していた。染料が認められない細胞の内腔面積は、染料が認められた細胞の内腔面積よりも有意に小さかった。また、染料が認められた細胞には有縁壁孔が認められたのに対し、染料が認められなかった細胞の一部では有縁壁孔は観察できなかった。外側2年輪を解繊し、光学顕微鏡下で二次木部細胞の形態を観察したところ、有縁壁孔を全く持たない細胞が全体の16%存在した。これらの結果から、イチョウ二次木部には有縁壁孔を持たず、通水に寄与しない細胞が存在し、イチョウの二次木部細胞は機能分化している可能性が高いと考えられる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390296265975051904
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_155
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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