3地域に植栽された落葉広葉樹の主幹における木部形成と老化
書誌事項
- タイトル別名
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- Xylem formation and senescence in the main stem of deciduous broadleaved trees planted in three regions
説明
<p>心材は多くの樹種で着色心材として知られているが、一般的に形成された木部が十数年経過した後に心材化するため、その形成機構に関する研究は未だ十分になされているとは言い難い。そこで本研究では、落葉広葉樹を対象に主幹における木部の心材化の種特性を明らかにする目的で、緯度の異なる国内3地域(足寄・秩父・浜松)に広葉樹3種(タラノキ・ヌルデ・ヤマザクラ)の苗木を同時期に植栽し、定期的に生育調査と木部の組織観察を行った。その結果、3種の樹高と地際直径が最も大きかった個体は浜松のもので、足寄の個体が最も小さい傾向を示した。地際付近の主幹における木部の着色を調べた所、タラノキでは秋季に、ヌルデは初夏に秩父と浜松の苗木で認められ、ヤマザクラでは秋季に足寄の苗木で認められた。着色域では3種とも水輸送機能が喪失していたが、ヤマザクラでは着色域でも多くの柔細胞が生きていた。従って、落葉広葉樹には若木でも心材化を生じる樹種が存在し、心材化を起こす時期は生育環境により種毎で異なることが明らかになった。木部の着色域では水輸送機能は既に喪失していたが、ヤマザクラのように心材化までには至っていない樹種も存在した。</p>
収録刊行物
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- 日本森林学会大会発表データベース
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日本森林学会大会発表データベース 134 (0), 417-, 2023-05-30
日本森林学会