樹皮の形状及び化学的特性によるイオン吸脱着への影響
書誌事項
- タイトル別名
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- Effect of bark shape and chemical characteristics on ion adsorption and desorption
説明
<p>樹皮は,樹種ごとに形状や表面の化学的特性が様々であり,樹幹流の流量や成分に樹皮表面の凹凸やイオン交換反応などが影響していると考えられる。本研究は,樹皮の凹凸と陽イオン吸脱着の基礎的情報を得ることを目的とした。ミズナラ,スギ,イヌシデ,ケヤキ各3本ずつを対象に凹凸の指標として表面長を測定した。その各樹皮に対して1N-酢酸アンモニウム水溶液(CH3COONH4)の滴下実験およびCH3COONH4と10%塩化ナトリウム水溶液(NaCl)への浸漬実験を実施し,滴下液と浸漬液の主要陽イオン濃度および樹皮の陽イオン交換容量(CEC)を測定した。その結果,表面長はミズナラ>スギ>イヌシデ>ケヤキの順に長く,滴下液の陽イオン濃度は概ね、ミズナラ>スギ≒イヌシデ>ケヤキの順に,CECはミズナラ(80±8cmolc/㎡)>スギ(69±13 cmolc/㎡)>イヌシデ(53±10 cmolc/㎡)≒ケヤキ(54±18 cmolc/㎡)の順にそれぞれ高かった。これらの結果から,樹皮の凹凸の程度が大きい樹種ほど,陽イオンを吸脱着する能力が高い傾向にあることが示された。また,スギは塩基飽和度が他3種よりも低く,降雨等により陽イオンが脱離しやすいと考えられる。</p>
収録刊行物
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- 日本森林学会大会発表データベース
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日本森林学会大会発表データベース 134 (0), 541-, 2023-05-30
一般社団法人日本森林学会