モミの落葉被害をもたらす食葉性昆虫モミハモグリゾウムシの生活史

DOI
  • 綾部 慈子
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所
  • 磯野 昌弘
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所

書誌事項

タイトル別名
  • Defoliation of Momi fir by the curculionid leafminer, <i>Parendaeus abietinus</i>, and its life history

抄録

<p>岩手県のモミ人工林で集団落葉・枯死被害が発生し,ゾウムシ科の潜葉虫モミハモグリゾウムシの関与が明らかになっている。これまで本種によるモミの被害は長崎県雲仙のモミ天然林で発生したことが知られており,成虫の後食時期や葉の利用様式は判明しているものの,成虫寿命のほか,幼虫や蛹についての生態は不明である。モミは日本の中間温帯の代表樹種の一つであり,木材利用のほか,菌根が形成され一部が食用キノコとして利用されるなど生態系サービスを提供する重要樹種である。モミ林を適切に管理し本昆虫種の防除技術開発に繋げるためには,その生活史特性の解明は必須である。生態調査の結果,成虫は6月下旬から7月中旬にかけて羽化し,寿命は約12日程度であることが判明した。成虫が後食や産卵した葉は7月下旬から8月中旬にかけて落葉し,幼虫はリター葉の内部に少なくとも12月まで潜葉したままで越冬したことから,来春に蛹化すると考えられた。本種は年1化性で生活史の大部分をリター層の葉の中で過ごすことから,落葉かきが有効ではあるものの,広範囲の被害時には防除対策を取ることが難しい種であると考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390296265975385728
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_596
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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