非透析患者におけるワルファリン誘発カルシフィラキシスと重症下肢虚血の合併例

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タイトル別名
  • A Case of Warfarin-induced Calciphylaxis with Critical Limb Ischemia in a Non-dialysis Patient
  • ヒトウセキ カンジャ ニ オケル ワルファリン ユウハツ カルシフィラキシス ト ジュウショウ カシキョケツ ノ ガッペイレイ

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抄録

<p>69 歳,女性。10 年前の僧房弁機械弁置換術後よりワルファリン内服を継続中だが,PT-INR は一定せずコントロール不良であった。左乳癌術後皮膚転移,骨転移に対して 4 年前より抗 RANKL 抗体製剤とカルシウム製剤,関節リウマチに対して 3 年前よりプレドニゾロン 10 mg/日,2 型糖尿病に対してインスリンで加療中だが,腎機能低下は認めず。1 週間前から左下腿の発赤,腫脹,疼痛が出現し,左下腿蜂窩織炎の診断で入院し抗生剤治療を開始した。入院 3 日目に口腔粘膜出血があり,PT-INR 7.7 に延長あり,ワルファリンを休薬した。同日,左下腿後面に皮膚潰瘍を生じ,急速に拡大してアキレス腱が露出し,左下腿潰瘍周囲,右下腿に有痛性紫斑が多発した。潰瘍辺縁と紫斑から皮膚生検を施行し,病理所見ではいずれも脂肪織内の小血管にフィブリン血栓,小血管壁内に石灰化を認め,ワルファリン誘発性の非尿毒症性カルシフィラキシスと診断した。ワルファリンを中止しヘパリンナトリウムに置換後,潰瘍の拡大や紫斑の新生は認めず。また,下肢皮膚組織潅流圧(Skin Perfusion Pressure:SPP)検査は両下肢ともに 30 mmHg 以下と低値,下肢動脈造影検査で両下肢の後脛骨動脈の狭窄と腓骨動脈の完全閉塞を認め,重症下肢虚血と診断した。左下腿血管内治療後に,潰瘍のデブリードマン,局所陰圧療法,分層植皮術を行い,潰瘍は治癒した。その後,ワルファリンを再開したが,再開1 年後の現在まで潰瘍の再燃は認めていない。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (2), 99-103, 2023-04-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (7)*注記

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