胃原発扁平上皮癌の1例

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抄録

【症例】72歳、男性【主訴】心窩部痛、食欲不振、嘔気【現病歴】4ヶ月前からの心窩部痛と2ヶ月前からの食思不振と嘔気を主訴に2022年4月に当科外来を受診した。【既往歴】HBV既感染【生活歴】喫煙歴:20歳から60歳まで20本/日、飲酒歴:焼酎4合/日を週4日、アレルギー歴:特記事項なし【画像所見】腹部造影CT検査で胃体上部後壁から漿膜側に突出する直径12cm大の内部不均一な造影効果を呈する腫瘍を認め、周囲臓器(肝尾状葉、膵尾部および左副腎)への浸潤が認められた。また腹部MRI検査で肝両葉に多発する転移性腫瘍が認められた。上部消化管内視鏡検査では胃体上部後壁から噴門部に、頂部に潰瘍形成を伴う粘膜下腫瘍様病変が認められた。腫瘍露出部からの生検結果は低分化型扁平上皮癌であった。【経過】胃原発扁平上皮癌、転移性肝腫瘍の診断で同年4月からSOX + Nivolumab療法を開始した。5月に腫瘍による噴門部の通過障害により経口摂取が困難となったために中心静脈栄養を導入し、FOLFOX + Nivolumab療法に治療レジメンを変更した。同レジメンを3サイクル施行し、7月に施行したCT検査において原発巣は9cmまで縮小したものの、通過障害の改善は得られず経口摂取も困難な状況であった。8月から緩和的放射線療法(総線量40Gy/16Fr)の併用を開始し、現在まで治療を継続中である。【結語】胃原発扁平上皮癌は発生頻度の稀な疾患であり、その特徴について文献的考察を加えて報告する。

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