千葉県鴨川市のマテバシイ林と愛知県瀬戸市のコナラ林におけるナラ枯れ被害の年次推移

  • 楠本 大
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林千葉演習林
  • 久本 洋子
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林千葉演習林 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林秩父演習林
  • 村川 功雄
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林千葉演習林
  • 澤田 晴雄
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林生態水文学研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Annual Changes in Damage Caused by Japanese Oak Wilt in a <i>Lithocarpus edulis</i> Forest in Kamogawa, Chiba Prefecture and a <i>Quercus serrata</i> Forest in Seto, Aichi Prefecture
  • チバケン カモガワシ ノ マテバシイリン ト アイチケン セトシ ノ コナラリン ニ オケル ナラ カレ ヒガイ ノ ネンジ スイイ

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抄録

<p>千葉県鴨川市のマテバシイ林および愛知県瀬戸市のコナラ林においてナラ枯れ被害の初期から終期までの年次推移を調査した。カシノナガキクイムシの穿入を受けた被害木の個体数は両調査地とも最初の3~4年間は増加したが,被害木の割合がマテバシイ林で90%,コナラ林で80%を超えると急速に被害が収まった。被害終息時,どちらの調査地も胸高直径階10 cm未満の個体のほとんどは無被害だったのに対し,胸高直径階10~20 cmでは70~80%の個体が,20 cm以上の胸高直径階では90~100%が穿入を受けていた。個体ごとの症状の年次推移をみると,コナラは前年穿入生存木だった個体の95%以上は翌年も生存したが,マテバシイは穿入生存木の20~30%が翌年半枯れや枯死に推移し,立木の枯死への進展過程に調査地間で違いがみられた。本研究から,マテバシイ林とコナラ林のどちらの林分においても,直径10 cm前後の小径木を除くほぼ全ての個体がカシノナガキクイムシの穿入を受けるとナラ枯れ被害が終息することが示唆された。</p>

収録刊行物

  • 日本森林学会誌

    日本森林学会誌 105 (4), 103-109, 2023-04-30

    一般社団法人 日本森林学会

参考文献 (10)*注記

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