女子アイスホッケー選手のコンディショニングの実施状況と傷害調査

DOI
  • 須山 陽介
    昭和大学 保健医療学部 理学療法学科 昭和大学横浜市北部病院 リハビリテーション室 昭和大学スポーツ運動科学研究所
  • 保坂 亮
    昭和大学 保健医療学部 理学療法学科 昭和大学横浜市北部病院 リハビリテーション室
  • 鈴木 貞興
    昭和大学 保健医療学部 理学療法学科 昭和大学横浜市北部病院 リハビリテーション室

抄録

<p>【目的】</p><p>アイスホッケーは氷上において切り返しや方向転換、加速と減速の繰り返しが急激に行われるため傷害発生の高いスポーツであり、スポーツ傷害の予防が重要である。また、氷上以外の取り組みがパフォーマンスの向上と共に傷害の予防に繋がると考えられている。しかし、クラブチームでは年齢や日常活動が異なるため氷上以外の運動状況の管理が難しい点や本邦では女子アイスホッケー選手の傷害調査は少ないため運動指導をする上でコンディショニングの実施状況と傷害を把握することが必要である。今回、コンディショニングの実施の有無と疼痛部位や傷害の種類についてアンケートを用いて調査を行った。</p><p>【方法】</p><p>アイスホッケークラブチームに所属する女性16名(年齢28.1±6.2歳)を対象としたアンケートによる調査を行った。質問項目はコンディショニングの実施状況、競技の経験年数、疼痛部位、1日以上練習や試合に参加不可能となった傷害および部位、手術歴である。コンディショニングの実施状況から「できている」群(A群)と「できていない」群(B群)に分け比較を行った。</p><p>【結果】</p><p>アンケートの結果、A群9名、B群7名であった。A/B群それぞれの結果を示す。経験年数は11~15年が3/3名、16年以上6/4名であった。疼痛は訴えの多い順に手・指関節4/3名、膝関節2/3名、腰部0/3名、頚部1/1名、肩関節0/1名、股関節0/1名となった。1日以上練習や試合に参加不可能となった傷害の種類は多い順に骨折6/3名、捻挫・靭帯損傷5/2名、半月板損傷2/3名、筋損傷2/2名、関節・腱炎症2/1名、脳震盪3/1名、腰痛1/1名、シンスプリント1/0名となった。部位は多い順に膝関節6/3名、手・指関節5/1名、頭部3/2名、腰部4/1名、肩関節3/1名、足関節3/1名、頚部2/0名、大腿1/1名、股関節0/1名、背部1/0名であった。手術歴は膝関節の前十字靭帯再建術・半月板縫合・切除術、鎖骨骨折の観血的固定術があり、膝関節の外科的治療が多かった。</p><p>【結論】</p><p>コンディショニングの実施状況は約半数の選手ができていない状況であった。A群の方が疼痛や傷害の件数は多く、スティックを使用するため手・指関節の疼痛や傷害、方向転換や加速減速の動作が多いため膝関節の傷害が多かった。また、男子アイスホッケー選手の傷害調査の報告と同様に脳震盪を経験している選手もいるため、女性ではボディチェックが禁止されているが接触による傷害も多いことから安全面にも注意が必要である。疼痛や傷害の有無に合わせて新規に傷害を発生させない事や重症化させない事を目的にコンディショニングに取り組む体制や意識作りが必要がある。</p><p>【倫理的配慮、説明と同意】</p><p>アンケート記入の際に説明と同意の下、個人情報の取り扱いには十分に留意し検討を行った。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ