食品摂取多様性スコアなどを用いた栄養指導と理学療法の併用が有効であった外来の大腿骨近位部骨折術後患者

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>大腿骨近位部骨折術後患者では、低栄養やサルコペニアを合併する場合が多く、これらは機能的転帰に影響を与える。また、筋肉量の減少は術後1年間続くことが報告されている。リハビリテーション(以下、リハ)を実施している大腿骨近位部骨折患者に対しては、栄養療法との併用が有効である。今回、大腿骨近位部骨折術後に低栄養とサルコペニアを合併した外来リハ患者に対し、食品摂取多様性スコアなどを用いた栄養指導を併用し、良好な結果を得たため、報告する。</p><p>【症例】</p><p>87歳、男性。身長 168cm、受傷前体重62.0kg、BMI21.9。診断名:右大腿骨近位部骨折。既往歴:左大腿骨近位部骨折、腰椎圧迫骨折。現病歴:X年8月6日自転車走行中に転倒し、受傷した。8月13日に観血的整復固定術を施行し、8月25日に自宅退院したが、10月上旬より右股関節の疼痛が増強した。大腿骨頭が圧潰し、転位したため、10月21日に抜釘、人工骨頭置換術を施行した。11月16日に自宅退院したが、歩行が不安定なため、1月15日当院での外来リハを希望され、開始した。</p><p>【初期評価】</p><p>体重56.1kg、BMI 19.8、体重減少率8%(5ヶ月間)、食欲低下を認め、低栄養の国際基準(the Global Leadership Initiative on Malnutrition:GLIM 基準)で低栄養に該当した。また、下腿周径31.5cm/31.0cm、握力21.0kg、歩行速度0.8m/秒、5回立ち上がりテスト13.6秒であり、サルコペニアの可能性があった。Barthel Indexは85点であった。</p><p>【方法】</p><p>理学療法はレジスタンストレーニング、バランス練習、歩行練習などを40分間、週1回程度実施した。食事状況の評価として、食品摂取多様性スコアとTake10!食生活チェックシートを用いた。また、Take10!食生活チェックシートに管理栄養士が栄養アドバイスを記載し、フィードバックした。</p><p>【結果】</p><p>外来リハ開始5ヶ月後、体重57.9kg、BMI20.5、下腿周径 34.0cm/33.5cm、握力28.0kg、歩行速度1.1m/秒、5回立ち上がりテスト9.7秒であり、栄養状態とサルコペニアは改善した。Barthel Indexは100点であった。食品摂取多様性スコアは5点→7点に増加した。</p><p>【結論】</p><p>レジスタンストレーニングを中心とした理学療法とTake10!食生活チェックシートを用いた栄養指導を実施したことで、食品摂取多様性スコアが向上し、低栄養とサルコペニア、ADLが改善した。外来リハ患者では食事摂取量を把握できないことが多いため、食品摂取多様性スコアなどを用いた評価、介入が有用な可能性がある。</p><p>【倫理的配慮、説明と同意】</p><p>発表に関して、本人に目的及び内容を説明し同意を得た。</p>

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