Active Mobility Indexによる予測妥当性の検討:5年間の前向き調査

DOI
  • 土井 剛彦
    国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部
  • 堤本 広大
    国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部
  • 中窪 翔
    国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部
  • 栗田 智史
    国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部
  • 木内 悠人
    国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 鹿児島大学大学院 保健学研究科
  • 西本 和平
    国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 信州大学大学院 総合医理工学研究科
  • 島田 裕之
    国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部

抄録

<p>【はじめに】</p><p>高齢者が日常生活における生活空間、活動範囲を維持することは、健康増進において重要である。地域在住高齢者における活動範囲とそれに伴う活動を身体活動と社会活動の側面から評価するために、Active Mobility Index(AMI)を開発した。本研究は、AMIの予測妥当性を検討するために、5年の前向き調査により実施した。</p><p>【方法】</p><p>本研究は、高齢者機能健診(National Center for Geriatrics and Gerontology - Study of Geriatric Syndromes)に参加した70歳以上を対象とした。ベースライン調査にて、認知症、脳卒中、パーキンソン病を有している者、日常生活が自立していない者、顕著な認知機能低下を有する者(Mini-Mental State Examination<21)、欠損値を有する者を除外した4432名を対象にした。AMIにより評価される項目は、各生活範囲(戸外~1km, 1km~10km, 10km以上)における身体活動・社会活動を伴う行動を、外出頻度・手段・目的・活動内容により点数化したものであり(0点~216点)、合計点数が高いほど活動的であることを示す。共変量として、一般特性、医学情報、生活習慣を聴取した。予測妥当性の検討を行うために、新規要介護(要支援・要介護)認定をアウトカムとして5年の追跡調査(平均追跡期間:54か月)を行った。Cox回帰モデルを用いた生存分析を行い、目的変数に新規要介護認定、説明変数にAMIの点数を4分位(Q1: 低,Q4: 高)にて群分けしたもの、共変量を設定した。</p><p>【結果】</p><p>対象者4432名(平均年齢76歳、女性53%)のうち、追跡期間中に836名の者が新規要介護認定を受けた。生存分析の結果、Q4を参照としたところ、共変量にて調整したモデルにおいて、新規要介護認定と関連する傾向がみられた(trend p-value<.001, Q1: HR 1.53, 95% CI 1.24 - 1.88; Q2: 1.09, 95% CI 0.87 - 1.36; Q3: HR 1.30, 95% CI 1.04 - 1.61)。</p><p>【結論】</p><p>AMIにより評価された活動指標が、新規要介護認定と関連し、予測妥当性を有していることが示された。地域在住高齢者に対して活動評価を行う場合は、生活範囲に活動を加味した評価が重要であり、今後さらなる検討が求められる。</p><p>【倫理的配慮、説明と同意】</p><p>本研究は、発表者所属機関の倫理・利益相反委員会の承認を受け、対象者に対し本研究の主旨および目的を口頭と書面にて説明を行い、同意を得た後に実施した。</p>

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