ジェンダーからパンデミック下の生政治・死政治を考える

書誌事項

タイトル別名
  • Gender and the Operation of Biopolitics/Necropolitics under the COVID-19 Pandemic:
  • The Case of Contemporary Japan
  • ―現代日本の場合

抄録

<p> 本稿では、女性の自殺者数が2020年に急増した例に代表されるように、新型コロナ・パンデミックが日本において多くの女性に深刻な影響を与えたという事実を構造的な問題として、すなわち、資本主義経済とそれを管理運営する国家の統治システムに関わる問題として議論する。このため本稿では、個々人と人口全体に働きかけ、配慮することを通じて資本主義経済システムの円滑なオペレーションを維持・発展させるための統治システムである「統治性」の議論を、アシーリ・ムベンビが提示した「死政治」(necropolitics)の概念を導入することで刷新することを試みる。ムベンビによる「死政治」の概念は、従来の「統治性」の議論では明確に触れられてこなかった、資本主義経済の発展の過程で一定の「棄民」が生み出されてきたという論点を曝け出すものである。その上で、本稿は、高度資本主義社会の段階にある現代日本の状況において、「政治的プロジェクト」としての新自由主義が一定の独自性を示しながら展開していることを示し、「生政治」と「死政治」がなぜ日本では特に「ジェンダー」と関連して進行するのか考察する。</p>

収録刊行物

  • 年報政治学

    年報政治学 73 (1), 1_15-1_34, 2022

    日本政治学会

参考文献 (9)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ