薬学部・看護学部の学生を対象とした「患者コミュニケーション」講義受講前後の医療コミュニケーションに関する認識変化

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  • Changes in Pharmacy and Nursing Students’ Perceptions of Medical Communication Before and After Taking the “Communication for Patients” Class

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抄録

医療系学生が抱く「医療コミュニケーション」に対する考え方を明らかにするため、摂南大学における多職種連携教育の一つである「患者コミュニケーション」講義での、薬学部3年生と看護学部2年生の受講前後のコミュニケーションに関する認識について調べた。受講対象者に記述式のアンケート調査を行い(2018、2019、2021年度)、記述内容をKH Coderを用いてテキストマイニング解析した。なお、アンケートは個人名を特定できないよう無記名とした。本科目は、教員による講義の後、薬学部と看護学部合同班で症例を通じたロールプレイ(服薬状況、患者状態の確認)を行い、気づいた点を討議・発表する演習形式で行った。なお、授業は、2018、2019年度は対面形式、2021年度は遠隔形式で行われたことから、アンケートの解析は授業形式で分けて行った。「医療コミュニケーションで大事なこと」について、受講前は薬学部学生では「相手」「伝える」、看護学部学生では「相手」「傾聴」が、すべての年度で共起する言葉として抽出された。薬学部では「薬剤師の服薬指導」のイメージがあり、看護学部では臨床実習で「患者と接した経験」に基づくものと考えられる。受講後は薬学部ではいずれの年度でも「共感」が挙げられた。「講義後に意識出来るようになった点」として、対面講義で行われた2018 - 2019年度では両学部ともに「見る」が、2021年度では「表情」が挙げられた。授業が対面あるいは遠隔形式の違いにより、意識する点が異なると考えられるが、講義後はいずれも「相手」を意識する傾向であった。薬学部、看護学部のそれぞれの学生はコミュニケーションに関して互いに異なる視点をもっているが、合同演習を通じてそれぞれの認識に触れ、自身の振る舞いが相手にどのような影響を与えるのかについて、気づけるようになり、患者の理解、患者情報の把握や医療従事者間の信頼関係構築における具体的行動について認識ができたと考えられる。

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