インターネット時代の新聞のビジネスモデルに関する考察

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タイトル別名
  • A study of newspaper business models in the internet era
  • インターネット ジダイ ノ シンブン ノ ビジネス モデル ニカンスル コウサツ

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抄録

本稿は,我が国における健全なジャーナリズム環境の維持のために,持続可能な新聞のビジネスモデルの在り方について,一つの提案を行うものである。日本の新聞社は1990年代半ばからデジタル化によって収益を上げることに挑戦しているが,今後の見通しも厳しいと言わざるを得ない。新聞社は本来的には,「民主主義社会の構築と維持」「権力の監視」といったことを使命としてきた。「記事」はそうした使命を果たすための手段であった。そう考えるならば,「記事を売る」こと自体を目的とするべきではない。新聞は市民に,社会の動きを伝える働きをしてきた。新聞が伝えてきた社会の動きとは,社会を動かす地位にある権力者と呼ばれる人々の動きであると同時に,そうした権力者同士の葛藤に対して新聞が影響を与える過程でもあった。多様な報道機関や個人が発するニュースが細切れで消費されるインターネット時代にあっては,一般市民は,新聞社のニュースを通じて社会が動いているという体験的価値を実感することが困難になりつつある。このため新聞社は,イベントなどの機会を設けて,より直接的に首長,議員,行政,地元企業などといった権力者や権力機構と市民とを繋ぐ機会を設けることが求められる。行政や企業等をスポンサーとして,そうしたイベントから収益を上げる方策を探ることが,新聞社の持続的な活動のために必要とされている。

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