大きく前進するデジタル経済をどう計測するか
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- 大久保 敏弘
- 慶應義塾大学経済学部
書誌事項
- タイトル別名
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- GDPの限界と新たな統計の試み
抄録
デジタル経済が広く浸透するなか、その経済活動をどう把握するか。「デジタル経済の計測」が国内外で議論されている。特に既存の代表的な経済指標であるGDP(国内で生産されたモノやサービスの付加価値の合計額)では計測困難な無料のデジタルサービスをどう捉えるかが焦点の1つだ。本稿では、無料のデジタルサービスの価値を消費者の支払い意思額から検討する。就業者実態調査の結果に基づき、企業がデジタルサービスを有料化した場合の市場規模を試算すると、独占価格の仮定では、各種デジタルサービスは年間840〜950億円規模になり、例えば10種類のデジタルサービスを合わせるとおよそ9,000億円程度となった。正確な統計がなければ国の現状はわからず、統計の衰退は国の衰退につながる。既存統計を維持しつつ、デジタル経済を多元的に計測する新たな統計の構築が喫緊の課題だ。データは世の中に散在しており、民間データの活用や、データ市場を構築してデータ売買の動きを捕捉するなど、官民挙げての様々な試行錯誤が求められる。
収録刊行物
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- NIRAオピニオンペーパー
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NIRAオピニオンペーパー 66 (0), 1-8, 2023-05-19
公益財団法人 NIRA総合研究開発機構
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390296575287486848
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- ISSN
- 24362212
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可