炎症依存的な嚢状動脈瘤増大を制御する因子としての血行力学的負荷:ラット動脈瘤モデルにおける検証

  • 清水 寛平
    国立循環器病研究センター研究所 分子薬理部 京都大学大学院医学研究科 脳神経外科 天理よろづ相談所病院 脳神経外科
  • 片岡 大治
    国立循環器病研究センター研究所 分子薬理部
  • 今井 宏彦
    京都大学大学院情報学研究科
  • 山本 悠斗
    名古屋工業大学 電気・機械工学科
  • 山田 智裕
    名古屋工業大学 電気・機械工学科
  • 宮田 悠
    京都大学大学院医学研究科 脳神経外科
  • 小関 宏和
    京都大学大学院医学研究科 脳神経外科
  • 安部倉 友
    国立循環器病研究センター研究所 分子薬理部 京都大学大学院医学研究科 脳神経外科
  • 岡 美栄子
    京都大学大学院医学研究科 脳神経外科
  • 九社前 美香
    京都大学大学院医学研究科 脳神経外科
  • 小野 功朗
    国立循環器病研究センター研究所 分子薬理部 京都大学大学院医学研究科 脳神経外科
  • 宮本 享
    京都大学大学院医学研究科 脳神経外科
  • 中村 匡徳
    名古屋工業大学 電気・機械工学科
  • 青木 友浩
    国立循環器病研究センター研究所 分子薬理部

書誌事項

タイトル別名
  • Hemodynamic force as a potential regulator of inflammation-mediated focal growth of saccular aneurysms in a rat model
  • 炎症依存的な嚢状動脈瘤増大を制御する因子としての血行力学的負荷 : ラット動脈瘤モデルにおける検証 : 第28回日本脳神経外科学会奨励賞
  • エンショウ イソンテキ ナ ノウジョウ ドウミャクリュウ ゾウダイ オ セイギョ スル インシ ト シテ ノ ケッコウ リキガクテキ フカ : ラット ドウミャクリュウ モデル ニ オケル ケンショウ : ダイ28カイ ニホン ノウ シンケイ ゲカ ガッカイ ショウレイショウ

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抄録

<p>【背景】過去の研究より,脳動脈瘤増大機序において,マクロファージ依存的な慢性炎症が,重大な役割を果たしていることが明らかにされてきた.血行力学応力もまた,脳動脈瘤増大のトリガーであることが考えられてきたが,その機序は明らかにされていない.</p><p>【方法】血行力学応力のシミュレーションに必要な形態抽出に用いる7-Tesla MR 画像の解像度より解析に必要な病変サイズを考慮して,ラットの総頚動脈に外科的に端側吻合で分岐部を作成することで,その分岐部に新規の動脈瘤を誘導する動物モデルを樹立した.本動物モデルにて,MR angiography で経時的に形態変化を観察した.Computational fluid dynamics 解析および酸化鉄ナノ粒子であるferumoxytol によるmacrophage imaging にて血行力学応力のシミュレーションと病変部での炎症反応の局在を評価した.</p><p>【結果】本動物モデルにおいて,新規の嚢状動脈瘤(大きさの中央値 = 3.2 mm)が20/45 (44%) の個体で発生した.これらの嚢状動脈瘤は,形態的にも病理学的にもヒト脳動脈瘤病変と類似していた.動脈瘤誘導手術から10–17 日後の間に,発生した動脈瘤の局所的な増大部位を同定することができた.血行力学応力のパラメーターの局在マップから,増大部位と低いwall shear stress (WSS) および高いoscillatory shear index (OSI) の共局在が示された.また,動脈瘤における増大部位と非増大部位を比べたところ,増大部においてWSS が統計学的に有意に低値であ った.Macrohpage imaging では増大部にマクロファージの集積が認められた.</p><p>【結語】本動物モデルによる検証より,低いWSS や高いOSI がマクロファージ依存的な嚢状動脈瘤の増大を制御している可能性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • Tenri Medical Bulletin

    Tenri Medical Bulletin 26 (1), 62-64, 2023-12-25

    公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所

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