発達研究における縦断データの解析手法:成長曲線モデルと潜在クラス成長分析

DOI
  • 西村 倫子
    浜松医科大学子どものこころの発達研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Methods for Analyzing Longitudinal Data in Developmental Research: Growth Curve Model and Latent Class Growth Analysis

抄録

<p>子どもの発達という研究領域では,子ども一人一人の発達をとらえることと,集団全体としての発達をとらえるということの両者が重要な役割を果たす。そのため,個人を繰り返し追跡調査する縦断研究と,それによって得られた縦断データの解析についての理解は重要である。発達研究における縦断データの解析において基本になるのは,発達の軌跡を描くことである。本稿では,発達の個人差をとらえつつ,集団全体としての発達軌跡を描くための手法として,成長曲線モデル(growth curve model)と,潜在クラス成長分析(latent class growth analysis)に焦点を当てて紹介する。この際,筆者が従事する「浜松母と子の出生コホート研究(HBC Study)」からの知見を交えて,これらの分析モデルについて具体的に紹介する。成長曲線モデルでは,混合効果アプローチと潜在クラスアプローチの2つを紹介し,出生体重は表出言語の発達に影響を与えるかという問いに対する具体例を示す。潜在クラス成長分析では,parallel processと呼ばれる,複数のドメインを並列に処理してクラス分類を行う手法を用いて,幼児期の言語や運動などの発達軌跡を描いた研究を紹介する。また,joint modelと呼ばれる,2つのドメインの組み合わせでクラス分類を行う手法を用いて,内在化と外在化の発達軌跡クラスを特定する。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 33 (4), 256-266, 2022

    一般社団法人 日本発達心理学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390296666511225856
  • DOI
    10.11201/jjdp.33.256
  • ISSN
    21879346
    09159029
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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