労災を巡る裁判事例と労災認定の動向と課題

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  • 黒木 宣夫
    医療法人社団宣而会 勝田台メディカルクリニック

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タイトル別名
  • Trends and problems with court cases involving work-related accident and the recognition of work-related accident

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抄録

精神疾患を伴う労働災害に対する労災補償状況は、毎年報告されているが、2021年度は2,346件(前年度比295件増)、実際に労災認定された件数も、2019年度509、2020年度608、2021年度629で認定率は24.7%~26.8%を呈しており、深刻な状況が続いている。「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」が発出されたのは、1991年9月であり、それ以前は、「心因性精神障害の業務上認定に際する留意事項(労働省)」で運用されていた。「心因性精神障害の業務上認定に際する留意事項(労働省)」により労災認定された精神障害事例、ならびに労災認定の判断指針発出に至った背景を報告する。2011年12月26日付け基発1226第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」が公表されたが、労災認定の判断指針に比べ、さらに心理的負荷が明確化された。判断指針、認定基準に関連する訴訟事例を紹介する。また、2019年12月現在、労働災害の認定基準について検討会が開催され、2020年5月(基発0529第1号)「パワーハラスメント」という出来事が「対人関係」から独立した出来事として新設(類型化)された。今後の労災認定の動向と課題について言及する。

収録刊行物

  • 産業保健法学会誌

    産業保健法学会誌 2 (1), 2-9, 2023-06-28

    一般社団法人 日本産業保健法学会

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