身体から接近する心理療法 実践と研究の最前線とこれから

抄録

<p>うつ病や不安障害などの神経症や,PTSDなどのトラウマ関連症状に対する心理療法として,従来の認知行動療法などに加え,近年はマインドフルネスの普及が進んでいる。こうした中,欧米では新しい潮流として,身体的ケアを中核として精神症状を改善しようとする「身体心理療法(somatic psychotherapy)」の導入が進みつつある。日本ではこれらの療法は,研究,臨床ともに部分的導入にとどまっている。しかしながら,修行や実践により精神と身体の一体不可分のあり方である「心身一如」を追求する歴史的,文化的基盤を有する日本では,これらの療法は今後さらに普及するだけでなく,独自の発展を遂げていくことが望まれる。本シンポジウムでは,こうした身体ベースの心理療法について,精神科臨床の観点から概観したうえで,西洋と東洋それぞれに基盤を持つ治療,実践とその研究の先端的知見を紹介し,今後について展望する。具体的には,EMDRの応用として発見され,視線の固定を中核としてトラウマ治療に成果を挙げている「ブレインスポッティング」や,身体心理療法的観点からの笑いヨガ,伝統的ヨガ,武道などの東洋的実践について取り上げたい。</p>

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