「垂直的競争」の阻害に対する優越的地位の濫用の適用

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  • 〜標準必須特許の権利者と実施者の関係性を例にとって〜

抄録

<p> わが国の独占禁止法は従来同じ取引段階の事業者間の水平的な競争にのみ注目してきたが、ビジネスの多様化を踏まえれば、サプライチェーン内で取引を行う異なる取引段階に属する事業者間においてマージン・付加価値を奪い合う垂直的な競争にも着目する必要がある。優越的地位の濫用の規制根拠についても、垂直的な競争を人為的な手段で歪めることを規制するものと捉える垂直的競争阻害説が、対消費者の優越的地位の濫用の説明に課題を有する間接的競争阻害説や、過剰な介入による弱者保護との批判を受けうる搾取説よりも合理的であり、近時の公取委の優越的地位の濫用の適用範囲の拡大もよりよく説明できる。仮に、標準必須特許の権利者がパテントプールの形成や内部的な合意の形成において、実施者との間の垂直的な競争を人為的に歪めていると評価される場合には、優越的地位の濫用を根拠として規制できる可能性がある。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390296808247227904
  • DOI
    10.50995/patentsp.76.28_93
  • ISSN
    24365858
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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