加齢黄斑変性の治療の変遷と今後

  • 林 篤志
    富山大学大学院医学薬学研究部(医学)眼科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Transition and future of treatment modalities for age-related macular degeneration
  • 就任講演 加齢黄斑変性の治療の変遷と今後
  • シュウニン コウエン カレイ オウハン ヘンセイ ノ チリョウ ノ ヘンセン ト コンゴ

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抄録

難治性黄斑疾患のひとつである加齢黄斑変性には,脈絡膜新生血管が生じて急激に視力が悪化する滲出型と徐々に黄斑部の網脈絡膜萎縮が進行する萎縮型がある。萎縮型に対する治療は現時点でもないが,滲出型加齢黄斑変性に対して,現在までにさまざまな内科的,外科的治療が試みられてきた。脈絡膜新生血管が黄斑部に発生するため,熱凝固によるレーザー治療では治療が困難であり,新しいレーザー治療である光線力学療法が開発され,現在臨床で使用されている。また,外科的治療としては,黄斑移動術が行われたが,手術侵襲が強かったため適応が限られた。現在では,眼内血管新生の促進因子である血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を抑制する薬物治療が主に行われている。加齢黄斑変性の治療はまだ発展途上であり,今後さらに新しい,より良い治療が臨床の場に登場し,予後が改善することが期待される。

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