職域健康診断における二次検診受診行動に関連する要因の検討

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タイトル別名
  • Investigate factors influencing secondary health examination behavior among workers
  • ショクイキ ケンコウ シンダン ニ オケル ニジ ケンシン ジュシン コウドウ ニ カンレン スル ヨウイン ノ ケントウ

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抄録

<p>目的:疾病の早期発見のため健康診断の機会が設けられているが,特に職域での有所見者は半数以上いるにもかかわらず,多くが再検査(以下,二次検診)を受診していない.本研究では職域における健康診断後の二次検診に関して,Health Belief Modelを用いて受診行動に影響を及ぼす要因を明らかにすることで,二次検診受診行動を促すための効果的なアプローチ方法を検討する.対象と方法:予備調査にて,Health Belief Modelの構成要素に基づき5因子(25項目):「健康への過信」,「行動への後押し」,「再検査に対する負担感」,「病気になることの重大性」,「再検査への認識の甘さ」からなる質問紙を作成した.その後の本調査で,健康診断の結果再検査に該当したことのある労働者1,400名を対象にweb調査を行った.有効回答167件(有効回答率11.9%)を二次検診受診の有無に分け,基本属性の割合と質問紙の各因子得点について比較検討した.因子得点は1人の回答者につき構成因子ごとに合計点を算出した後,各構成因子の合計点を標準化し算出した.二次検診受診の有無で統計学的有意差を認めた基本属性と質問紙の構成因子を独立変数,二次検診受診の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った.結果:受診あり群と受診なし群において,属性のうち,配偶者の有無とかかりつけ医の有無で有意差をみとめ,配偶者を有する者の方が二次検診を受診する割合が高く(p = .005),かかりつけ医を有する者の方が二次検診を受診する割合が高かった(p = .003).両群における因子得点の比較では「行動への後押し」と「再検査への認識の甘さ」で有意差をみとめ,「行動への後押し」については,受診あり群の得点の方が有意に高く(p = .024),「再検査への認識の甘さ」については,受診なし群の得点の方が有意に高かった(p < .001).ロジスティック回帰分析の結果,配偶者の有無,かかりつけ医の有無,「再検査への認識の甘さ」が有意な因子として選択された.考察と結論:職域健康診断において,配偶者の有無,かかりつけ医の有無,「再検査への認識の甘さ」が二次検診受診行動に直接的に影響を与えていることが明らかになった.二次検診受診行動を促すためには,身近な存在を意識した支援や,再検査への認識を高めるためのヘルスリテラシーの向上を念頭に置いた支援が求められる.</p>

収録刊行物

  • 産業衛生学雑誌

    産業衛生学雑誌 65 (4), 203-211, 2023-07-20

    公益社団法人 日本産業衛生学会

参考文献 (1)*注記

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