薬剤感受性試験と生化学的性状から<i>Pseudomonas otitidis</i>を推定した菌血症の1症例

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タイトル別名
  • A case of bacteremia presumed to be <i>Pseudomonas otitidis</i> on the basis of drug susceptibility tests and biochemical characteristics
  • 薬剤感受性試験と生化学的性状からPseudomonas otitidisを推定した菌血症の1症例
  • ヤクザイ カンジュセイ シケン ト セイカガクテキ セイジョウ カラ Pseudomonas otitidis オ スイテイ シタ キンケツショウ ノ 1 ショウレイ

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抄録

<p>50歳代女性。乳がん,骨転移のため化学療法中であった。来院1か月前から腹痛を認め,血液検査とCT検査の結果,閉塞性黄疸と診断され入院となった。内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)にて胆管ステントを留置後に発熱を認め,血液培養が採取された。培養18時間後に血液培養からグラム陰性桿菌が検出され,VITEK2によりPseudomonas aeruginosa/Pseudomonas putidaと判定された。追加試験としてアシルアミダーゼ試験と42℃での発育の有無を確認したが,P. aeruginosaP. putidaのどちらにも合致しないため,同定不能とした。薬剤感受性試験ではImipenem(IPM),Meropenem(MEPM)に感性であったものの,Doripenem(DRPM)に耐性を示していたためmodified carbapenem inactivation method(mCIM)を実施した結果,カルバペネマーゼ産生菌と判定された。これらの結果からPseudomonas otitidisを疑い,他施設にて質量分析装置MALDI Biotyperでの同定検査を実施したところ,P. otitidisと同定された。P. otitidisは染色体性メタロβ-ラクタマーゼを保有しているが,16S rRNA遺伝子解析や質量分析装置を用いなければ同定できない。これらを有していない施設では,薬剤感受性のパターンや類似菌のキーとなる性状を把握することで本菌の推定が可能になり,適切な抗菌薬治療や過剰な感染対策を防ぐことへ繋がると考える。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 72 (3), 452-457, 2023-07-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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