Estimation of trace element intake and mineral balance of wild Japanese macaques (<i>Macaca fuscata</i>)

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  • 野生ニホンザル (<i>Macaca fuscata) </i>の摂取する微量元素ならびにミネラルバランスの推定

Abstract

<p>野生霊長類の採食戦略を考えるうえで、彼らの採食成功の定量化は重要である。これまで、エネルギー・タンパク質の摂取量や要求量とのバランスに関する知見が得られてきたのに対し、代謝機能や組織調整に重要と考えられる、微量元素の摂取量やミネラルバランスに関する情報は不足している。2004年6月から2005年5月にかけて、宮城県金華山島で野生ニホンザル(Macaca fuscata)の行動観察を行い、採食量を記録した。あわせてサルが採食した品目(n = 54)を集め、乾燥粉砕した試料に京都大学複合原子力科学研究所の研究用原子炉(KUR)を利用して中性子を照射し、生成した放射性核種から放出される放射線測定により(中性子放射化分析)、17元素の濃度推定を行った。このうち7元素について、要求量(NRC, 2003を参照)との比較に基づいてミネラルバランスを評価したところ、Cuは春に、ZnとMnの2種は春と夏に、IとCaの2種は夏に、摂取量が要求量を上回ることがわかった。いっぽうFeの摂取量は要求量を常に上回り、逆にSeの摂取量は要求量を常に下回っていた。本研究により、1)微量元素の摂取量の季節変化のパターンはエネルギーやタンパク質のそれとは異なり、かつ元素間でも異なること、2)微量元素摂取に貢献する食物品目はエネルギーやタンパク源と必ずしも一致しないこと(例:Zn, Fe, Mnの摂取に葉草本類が大きく貢献していた)が明らかとなった。</p>

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