Seasonal differences in inter-individual distances in crop-raiding Japanese macaques

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  • ニホンザル加害群における個体間距離の季節差

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<p>群れることのメリットには、採食物の確保、繁殖効率の向上、外敵からの防衛などがある。実際ニホンザル自然群における集団のまとまりは、採食や移動などの行動、季節、採食物の分布により影響を受けることが知られている。一方、加害群においては、農地という採食物が集中して分布する特殊な環境があるだけでなく、外敵である人間との干渉もある。このため、加害群における集団のまとまりには、自然群と異なる影響があると考えられる。そこで本研究では、集団のまとまりをある程度反映すると想定される個体間距離について、どのような要因が影響を与えているか検討することとした。京都府京丹後市に生息する加害群の2~3個体にGPS首輪を装着した。測位時刻は6時、11時、16時、21時に設定した。同群に所属する2個体が同時に測位に成功したデータを抽出し、測位点間の直線距離を計算した。個体間距離の中央値は、春(3~5月)から秋(9~11月)に向かって長くなり、冬(12~2月)に短くなる傾向がある群れがあった一方、季節によってあまり変化しない群れもあった。夏(6~8月)には個体間距離が異常に長くなった群れがあり(最大4065.6m)、分派していることが示唆された。個体間距離が秋に長くなる群れは、秋に植林の利用割合が高くなっていた。また冬には、農地や住宅地の利用割合が高くなっていた。一方、個体間距離の季節変化があまりない群れは、どの季節も農地や住宅地の利用割合が比較的高かった。また2個体とも開放地にいたとき、2個体とも森林内にいたとき、2個体が開放地-森林内に分かれていたときの順で、個体間距離が長くなった。自然群を調査した先行研究とは異なる結果が散見されたが、これらは森林内と農地との採食物の分布や開放地での危険度などの里山的環境が個体間距離に影響を与えていると考えられる。</p>

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