再発時に虹彩転移を認めた卵巣癌肉腫の一例

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タイトル別名
  • A case of iris metastasis from recurrent ovarian carcinosarcoma
  • サイハツジ ニ コウサイ テンイ オ ミトメタ ランソウ ガン ニクシュ ノ イチレイ

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抄録

<p>悪性腫瘍の眼内転移は稀であるが,中でも虹彩転移は稀である.今回卵巣癌肉腫の再発治療中の虹彩転移症例を経験した.症例は63歳未妊.38歳時に子宮筋腫のため子宮全摘術の既往がある.卵巣癌肉腫IIIB期に対し,初回手術(両側付属器摘出,大網切除,骨盤リンパ節生検,回腸部分切除,直腸低位前方切除)と術後化学療法(paclitaxel/carboplatin療法6x)を施行し完全寛解に至るも,10カ月後に腹膜播種と肺転移を認めた.プラチナ感受性再発の診断でgemcitabin/carboplatin+bevacizumab(Bev)療法6xを施行したが,Bev維持療法中に頭蓋骨転移を認め,同部位の腫瘍摘出と局所照射を施行した.その後PLD単剤療法を開始したが,有害事象で休薬中に左眼の視力低下,霧視,眼痛を認め眼科を受診した.眼圧の上昇と,細隙灯顕微鏡で左前眼部に白色調の腫瘍塊を認め,虹彩転移と判明した.局所外照射により腫瘍は縮小し,眼圧は低下,種々の眼症状も速やかに改善した.虹彩転移症例は,多くは数カ月~1年以内に原疾患で死に至る.予後改善は得られないが,眼症状の緩和や失明による患者のQOL低下の防止のため迅速な治療を行うことが重要と考えられた.</p>

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