無反応覚醒症候群をめぐる確率論的転回

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書誌事項

タイトル別名
  • <i>A “Stochastic Turn” in Patients with Unresponsive Wakefulness Syndrome</i>
  • <i>From High-rate Misdiagnosis to Care Methodology</i>
  • -誤診率を手がかりとしたケアの方法論を出発点として-

抄録

<p> かつて「植物状態」と呼ばれていた意識障害は、近年、その病態が含意するものの変遷により無反応覚醒症 候群( UWS) と呼ばれるようになった。しかし意識障害の診断基準や呼称の変遷、診断精度の向上にもかかわらず、その誤診率の高さは臨床において信用されるほど下がっていないとも指摘される。UWS患者にとって日常的なケアは重要であり、ケアの継続によってたとえわずかであっても意識の回復(発見) の可能性が担保される。しかし、誤診に基づいて適切なケアが行われない場合もあり得る。本稿では、意識障害の患者のケアにおいて、「確率論的転回」が求められることを主張する。そのために、診断された「無意識の状態」をどのように認識(前提)すべきかに関する確率論を用いた議論を行う。それにより、ケアの態度の前提となる事前条件を「彼/彼女はコミュニケーション障害に陥っているだけであり、意識的である可能性がある」とすることが実臨床においても、家族とのコミュニケーションにおいても有用性があることを示す。</p>

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 32 (1), 86-94, 2022-09-28

    日本生命倫理学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390296962549006208
  • DOI
    10.20593/jabedit.32.1_86
  • ISSN
    2189695X
    13434063
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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