胎児期に発見され致死的な気道閉塞をきたした脳組織由来の巨大口腔内腫瘤の1例

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タイトル別名
  • Prenatal diagnosis and management of large oral tumor originating from the brain: a case report
  • タイジキ ニ ハッケン サレ チシテキ ナ キドウ ヘイソク オ キタシタ ノウ ソシキ ユライ ノ キョダイグチ コウナイ シュリュウ ノ 1レイ

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抄録

症例は32歳,妊娠22週に二絨毛膜二羊膜双胎の一児に口腔内腫瘤が見つかり,上顎体が疑われた.腫瘤は増大傾向であり,妊娠30週に羊水過多をきたした.分娩について,関連各診療科と協議のうえ妊娠34週に選択的帝王切開術を行った.患児は気道確保困難であり,蘇生に反応せず死亡した.腫瘤の病理組織学的検査ではglia細胞の増生などが認められ,脳瘤と診断するのが妥当とされた.胎児期にみられる口腔内腫瘤の多くは,上顎,口蓋,喉咽頭に発生する奇形腫である上顎体であることが多いが,本症例では,病理組織学的検査と出生前の画像検査により脳瘤と診断することが妥当と判断された.口腔前面の腫瘤は,気道閉塞をきたすほど巨大なものでは出生直後より重篤な呼吸障害を呈し死亡する場合がある.上顎体は摘出されればその後の成長発達に支障をきたさないとする報告が多い.しかし本症例のように病理組織学的検査で脳瘤の可能性が指摘される場合は,気道確保に成功したとしても神経学的予後不良の可能性がある.〔産婦の進歩75(3):249-254,2023(令和5年8月)〕

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