阿武隈山地でのツキノワグマの分布状況

書誌事項

タイトル別名
  • Status of range expansion of Asian black bears into Abukuma mountains, Japan
  • アブクマ サンチ デ ノ ツキノワグマ ノ ブンプ ジョウキョウ

この論文をさがす

説明

<p>阿武隈山地には近年になってツキノワグマ(Ursus thibetanus)の進入が認められ,環境省特定計画ガイドラインおよび福島県の特定管理計画で監視区域に指定されている.しかし,同地域でのツキノワグマの生息実態は明らかにされていない.そこで阿武隈山地北部の800 km2の調査対象域にセンサーカメラおよび遺伝子試料採取用のヘアトラップを設置して,ツキノワグマの生息密度,遺伝的特徴を把握するための調査を実施した.約31か月間の調査期間中,ツキノワグマのトラップ設置地点への訪問は計4回に留まった.そのため,個体密度は低レベルであると考えられた.補完的に収集した遺伝子試料を併せたミトコンドリアDNAのハプロタイプの確認では,福島県,山形県,新潟県などの奥羽山地に特徴的なハプロタイプが確認でき,ツキノワグマが阿武隈山地の西側から進入している可能性が示された.本調査で確認された個体はすべてオスであったが,メスもすでに進出している可能性もある.引き続きの行政と研究者が協働してのモニタリングと,その結果に基づく適切なツキノワグマ管理計画の策定が福島県など行政の課題である. </p>

収録刊行物

  • 哺乳類科学

    哺乳類科学 63 (2), 185-192, 2023

    日本哺乳類学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ