Pembrolizumab投与中に急性発症1型糖尿病を発症したMSI-High直腸癌の1例

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  • Pembrolizumab-induced Type 1 diabetes mellitus in a patient with MSI-high metastatic rectal cancer

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抄録

<p>要旨: 症例は72歳男性。直腸癌に対して腹腔鏡下低位前方切除術が施行された。病理検査結果はpT3(SS), pN2b, M0, pStageIIIcで,高頻度マイクロサテライト不安定性(microsatellite instabilityhigh: MSI-High)を有する直腸癌であった。その後,多発肺転移を来したためPembrolizumabを開始した。11コース投与後4日目から食欲不振,腹痛,頭痛を自覚し,改善しないため発症3日後に当院を受診した。直腸癌術後で腹部症状を呈していたが,血液検査,画像検査からは腸管の器質的疾患は否定的であった。一方で,随時血糖値は334mg/dLと高値でHbA1c 7.1%と今まで指摘されていなかった耐糖能異常を認めた。精査加療目的に入院としたが,その後も高血糖が持続し,尿中ケトン体の出現,インスリン分泌能の著しい低下が確認されたことにより,Pembrolizumabによる免疫関連副作用(immune-related adverse events : irAE)として急性発症1型糖尿病を発症していると診断した。迅速に十分な輸液とインスリン補充療法を開始したことで重症化することなく経過し,入院16日目に退院とした。退院後もインスリン頻回注射療法を継続しながら,Pembrolizumabによる治療を行っている。irAEは全身のあらゆる臓器で発現する可能性があり,発症頻度は0.7%とまれではあるが1型糖尿病もその一つとして知られ,劇症1型糖尿病に至ることもあり迅速な診断と治療が重要である。今回我々は,Pembrolizumab投与中に急性発症1型糖尿病を発症したMSI-High直腸癌の1例を経験した。免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpointinhibitors : ICI)使用中に急激な血糖値の上昇や消化器症状を認めた際には,本疾患を疑い迅速に診断し治療を開始することが重要である。</p>

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