骨粗鬆症性椎体骨折後後弯変形に対する前縦靭帯深層切除併用lateral access corpectomyにおける放射線学的検討

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  • Radiological evaluation of lateral access corpectomy combined with release of anterior longitudinal ligament deep layer for kyphotic deformity after osteoporotic vertebral fractures

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抄録

<p>目的:骨粗鬆症性椎体骨折後後弯変形(KOVF)に対する前縦靭帯深層切除併用lateral access corpectomy(LACADR)における放射線学的成績を検討した.</p><p>対象及び方法:当院にてLACADR及び経皮的椎弓根スクリュー(PPS)を用いて手術施行し2年以上経過観察可能であったKOVFを有する患者12名を対象とした.平均年齢は72.5歳,平均経過観察期間は35.3ヶ月であった.骨折椎体,手術手順,術中出血量及び手術時間,前方椎体間距離(AID)と後方椎体間距離(PID),骨片脊柱管占拠率,局所後弯角(LK),各種脊柱骨盤パラメーター,骨癒合率,ODI,合併症を調査検討した.手術手順は側臥位としextreme lateral interbody fusion(XLIF)の開創器をもちいてLACADR及び椎体置換を行い,次いで腹臥位となりPPSを用いて後方固定を行う.LACADRに関しては骨折椎体の頭尾側いずれかの繊維輪及びALL深層をコブにて鈍的に切離し,背側より徒手整復し,その状態を保持したままX-coreを設置する.</p><p>結果:骨折椎体はT11が1例,T12が10例,L1が4例,L2が1例であった.手術手順は後方椎間関節における骨融合を有する症例はなく,全例前方LACADRを先に行い,その後後方PPS固定を行った.出血量は365±150 ml,手術時間は207±92分,AIDは術前19.5±5.0 mmが最終37.5±5.9 mmに改善,PIDは術前25.0±3.3 mmが最終35.1±4.5 mmに改善した.骨片脊柱管占拠率は術前44.3±13.1%が術直後34.6±10.4%,最終29.3±8.9%であり有意に改善していた.LKは術前37.4±4.5°がLACADR後3.9±2.2°,PPS後3.6±2.3°,最終4.6±3.7°であり,術後有意に改善,維持されていた.SVAは術前56.7±48.5 mmが術後33.0±26.2 mm,TKは術前44.3±14.5°が術後32.6±12.1°と有意に改善した.骨癒合率は術後12ヶ月で85%,最終92%であった.骨癒合形態は架橋形成型もしくは架橋形成+椎体間癒合型は83%,cage内癒合型は17%であった.ODIは術前69.2±13.1が最終16.5±5.3に改善した.合併症は術中終板損傷1例,cage沈下2例,proximal junctional kyphosis1例,壁側胸膜損傷を4例認めた.</p><p>結語:KOVFに対するLACADRの臨床成績を調査した.十分な矯正及びその維持,間接除圧効果,骨癒合が確認された.</p>

収録刊行物

  • Journal of Spine Research

    Journal of Spine Research 14 (8), 1099-1108, 2023-08-20

    一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会

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