租税の機能としての景気調整機能

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抄録

<p> 本稿は,租税の景気調整機能が今後どのような役割を果たしていくべきかを考えるに当たって,基礎的な検討を加えるものである。</p><p> 租税の景気調整機能は財政の機能とも重なりがあり,所得概念とも関わりがあるものである。これまでの税制改正の議論において,租税の景気調整機能は考慮がなされているものの,租税政策に具体的な影響は与えていない。むしろ抜本的税制改革後は,社会保障の安定財源を確保するために,租税の財源調達機能に重きが置かれることになり,租税の景気調整機能が注目されることはなくなっている。米国も同様の傾向にあるものの,世界金融危機後に再び租税の景気調整機能に関する議論が生じた点が注目される。</p><p> 本稿は,米国における議論を参考に,日本の現行法について景気循環を抑制又は増幅する効果がある規定をいくつか取り上げて分析した。</p><p> 広い意味での景気循環への対応としては財政政策や金融政策,さらには法制度それ自体を用いることも考えられるところ,これらを含めて経済の安定化に対する法制度設計を検討することが本稿の積み残した課題である。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390297216596764032
  • DOI
    10.57520/prifr.152.0_99
  • ISSN
    27584860
    09125892
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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