老夫人の〈語り〉に潜む物語の凄み
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- 神田 富士男
- 新潟県立小出高等学校
書誌事項
- タイトル別名
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- Force of Modern Fiction Latent in “Hazakura-to-mateki”
- ――「葉桜と魔笛」論――
抄録
<p>『葉桜と魔笛』は、病弱な妹が自分宛に虚構の手紙を書いていたことをきっかけとして、恋愛に憧れを抱く姉妹が虚構の世界で現実を超えた恋愛を作り上げていく物語である。これを姉である老夫人が、自分たち姉妹にあった出来事として三十五年後に語る形式となっている。その〈語り〉には、妹への思いや厳酷だった父への思い、家族の絆の強さが込められている。この物語には、老夫人の〈語り〉を聞く聞き手として、もう一人の〈語り手〉が存在する。このもう一人の〈語り手〉から物語を捉え直すと、戦時下に発表された意味も読めてくる。また、太宰治は、『葉桜と魔笛』と同時期に『富嶽百景』を書いている。〈近代小説〉である『富嶽百景』と比較をすることで『葉桜と魔笛』の物語の凄みが感じられる。</p>
収録刊行物
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- 日本文学
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日本文学 67 (8), 44-54, 2018-08-10
日本文学協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390297228018171520
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- ISSN
- 24241202
- 03869903
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可