特定健康診査の標準的な質問票において咀嚼状態不良と回答した者と職業の関連性

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タイトル別名
  • The association between occupation and poor mastication in Japanese workers: a questionnaire-based specific health checkup
  • トクテイ ケンコウシンサ ノ ヒョウジュンテキ ナ シツモンヒョウ ニ オイテ ソシャク ジョウタイ フリョウ ト カイトウ シタ モノ ト ショクギョウ ノ カンレンセイ

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抄録

<p>目的 特定健診・保健指導の第3期改定で標準的な質問票に追加された咀嚼設問への回答と職業の関連について調査することを目的とした。</p><p>方法 分析対象は,2021年4月から2022年3月までに日本予防医学協会で健康診断を受診した15~64歳の317,124人とした。咀嚼設問に対して,“何でもかんで食べることができる”と回答した者を咀嚼状態良好,“歯や歯ぐき,かみあわせなど気になる部分があり,かみにくいことがある”又は“ほとんどかめない”と回答した者を咀嚼状態不良として群間比較を行った。また,咀嚼状態を目的変数,職業分類を説明変数として,性別,年齢,Body Mass Index,飲酒,喫煙,運動,睡眠で調整した多変量ロジスティック回帰分析によってオッズ比と95%信頼区間を求めた。また,性別,年齢(40歳未満,以上)で層別化した解析を行った。</p><p>結果 分析対象の平均年齢は43.5±11.3歳,女性が30.5%,咀嚼状態不良者は14.9%であった。咀嚼状態良好群に比べて不良群で保安,生産工程,輸送・機械運転,建設・採掘,運搬・清掃・包装等の職業に従事する割合が高かった。ロジスティック回帰分析の結果,咀嚼状態不良者の割合が最も低い職業であった専門的技術的職業に対する各職業のオッズ比(95%信頼区間)は,管理0.94(0.90-0.98),事務1.14(1.10-1.18),販売1.10(1.05-1.15),サービス1.24(1.18-1.30),保安1.39(1.24-1.55),生産工程1.44(1.39-1.49),輸送・機械運転1.61(1.54-1.68),建設・採掘1.44(1.33-1.57),運搬・清掃・包装等1.63(1.56-1.70)で咀嚼状態不良との有意な関連が示唆された。とくに,輸送・機械運転や運搬・清掃・包装等の職業のオッズ比が高く,この結果と同様の傾向が男性および40歳以上の女性で観察された。いずれのモデルでも農林漁業の職業では有意な関連は認められなかった。</p><p>結論 咀嚼状態不良者は保安,生産工程,建設・採掘に加えて,とくに輸送・機械運転,運搬・清掃・包装等の職業に従事している者が多い可能性が示唆された。40歳未満の男性でも同様の傾向が観察されたことから,これらの職業に従事する者には早い段階から歯科保健指導を検討する必要性がある。</p>

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