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- 平野 滋
- 京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
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抄録
<p> 音声リハビリテーションは, 声の誤用によって起こる嗄声や声帯の病変を回復させるものであり, 対象となる疾患は多岐に渡る. 筋緊張性発声障害や変声障害などの機能性発声障害は最も良い適応であるが, 声帯結節, 一部の声帯麻痺, 歌手の歌唱障害, あるいは声帯の手術後のリハビリテーションとしても重要である. 最近では一部の加齢声帯萎縮も良い適応となった. 音声リハビリテーションでは音声治療が主体となるが, その手法は適切な呼吸と共鳴の誘導にある. 声帯の効率的な振動を導くために, 安定した適度な呼気流と呼気圧が重要であり, また, うまく共鳴を誘導することでソース・フィルター理論に基づく声帯に負担のかかりにくい発声様式が可能となる. 呼吸誘導にはチューブ発声法に代表される flow phonation, 共鳴誘導には顔面前部で響きを誘導する forward focus が用いられるが, 両者を同時に取り入れた semi-occuluded vocal tract exercise (SOVTE) は世界的に普及している. これらの手法は最初は母音ベースで行われ, これを会話音声にキャリーオーバーしていく必要があるが, 米国では最初から会話ベースで行う conversation training therapy (CTT) や歌唱者に用いる singing voice therapy が普及しつつある. いずれにおいても音声リハビリテーションの向かう方向性は一緒であり, 中身の手法については各症例の問題点を抽出して適切に判断するとよい.</p>
収録刊行物
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- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報
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日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 126 (8), 979-, 2023-08-20
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390297305329241984
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- ISSN
- 24365866
- 24365793
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可