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- 筒井 正人
- 琉球大学大学院 医学研究科 薬理学講座
書誌事項
- タイトル別名
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- Protective role of the nitric oxide synthases system in inter-organ communication
抄録
<p>臓器連関における一酸化窒素合成酵素(NOSs)系の役割は不明な点が多い.私達は,この点を,NOSs系完全欠損(triple n/i/eNOSs-/-)マウスを用いて検討した.私達は,triple n/i/eNOSs-/-マウスが心筋梗塞を引き起こすことを報告した.しかし,心筋梗塞の発症には約1年もの長期間を要した.一方,triple n/i/eNOSs-/-マウスの腎臓を2/3摘除すると,4~5ヵ月後に心筋梗塞による突然死が認められた.2/3腎摘triple n/i/eNOSs-/-マウスは心筋梗塞を発症する実験に有用なモデルである.本研究の結果から,NOSsは腎-心連関において保護的役割を果たしていることが示唆された.私達は,次に,血管病変形成における骨髄細胞のNOSsの役割を検討した.マウスの頸動脈を結紮すると14日後には収縮性血管リモデリングと新生内膜形成を特徴とする血管病変が形成された.この血管病変形成の程度は,野生型(WT)マウスの骨髄を移植したWTマウスと比較してtriple n/i/eNOSs-/-マウスの骨髄を移植したWTマウスにおいて著明に増悪していた.これらの結果から,NOSsは骨髄-血管連関において保護的役割を果たしていることが示唆された.私達は,さらに,肺高血圧における骨髄細胞のNOSsの役割を検討した.低酸素暴露3週間後の肺高血圧の重症度は,WTマウスの骨髄細胞を移植したWTマウスと比較してtriple n/i/eNOSs-/-マウスの骨髄細胞を移植したWTマウスにおいて著明に増悪していた.これらの結果から,NOSsは骨髄-肺連関において保護的役割を担っていることが考えられた.以上より,全身および骨髄のNOSsは,心筋梗塞,血管病,肺高血圧における重要な治療標的であることが示唆された.</p>
収録刊行物
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- 日本薬理学雑誌
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日本薬理学雑誌 158 (5), 374-378, 2023-09-01
公益社団法人 日本薬理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390297372144087808
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- ISSN
- 13478397
- 00155691
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可