アティシャの説く二諦の双入について――第四灌頂を中心に――

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  • Atiśa’s Explanation of the Union of the Two Truths: Focusing on the Fourth Initiation
  • Atisa's Explanation of the Union of the Two Truths : Focusing on the Fourth Initiation

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抄録

<p> 密教を顕教から区別づける要素として,入門儀礼でもあり,成就の手段ともされる灌頂(abhiśeka)を挙げることができる.一般に灌頂は,瓶灌頂,秘密灌頂,般若智灌頂,第四灌頂に分類される.そのうち,第四灌頂の定義と目的についての解釈は多様であり,第四灌頂の設定自体を否定する立場,般若智灌頂の一部とする立場,言葉による灌頂とする立場,言葉による灌頂とは異なる儀礼であるとする立場などが共存してきた.本稿ではアティシャ(Atiśa Dīpaṃkaraśrījñāna, 982-1054)の密教著作『現観分別』(Abhisamayavibhaṅga)と見修広説(lTa sgom chen mo)を中心として彼が説いた第四灌頂の定義と目的の究明を目指す.</p><p> 結論として,まず,アティシャは第四灌頂を言葉による世俗諦と勝義諦の双入の説示として定義することを指摘し,二諦の双入が説示される理由は修行者が勝義諦のみにとどまることを防ぎ,利他行を行うための基盤を提示するためであることを明らかにする.最後に二諦の双入を成就した者が自他の利益のために実践すべき行為としてアティシャは如何なるものを提示するかを論じる.</p>

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