フォンタン術後症例における非侵襲的肝線維化診断と循環動態評価:肝静脈波形とエラストグラフィの有用性の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Noninvasive ultrasound technique for assessment of liver fibrosis and cardiac function in Fontan-associated liver disease: diagnosis based on elastography and hepatic vein waveform type

抄録

<p>目的:先天性心疾患に対するFontan術を施行された後に,遠隔期肝合併症(フォンタン術後肝合併症,Fontan-associated liver disease: FALD)として鬱血肝から肝硬変に進展し,肝癌を発症する症例がある.FALDにおいて疾患の進行をリアルタイムで評価するには,肝線維症および心機能を評価するための非侵襲的検査方法の確立が必要である.本研究は,肝静脈(Hepatic vein: HV)波形分析およびエラストグラフィが,FALD患者において心係数(Cardiac index: CI)の代替マーカーとなり得るかどうかを評価し,FALD症例でエラストグラフィ測定に影響を与える因子を明らかにすることを目的とした.方法:全症例で心臓カテーテル検査,腹部超音波検査および肝臓のエラストグラフィ測定を施行した.さらに,肝線維症関連血清マーカーを測定し,ドプラ超音波検査を用いてHV血流を評価した.結果:FALD症例43例を対象とした(年齢中央値:17歳,四分位範囲:12‐25歳,男性:29名,肝生検:6名).Real-time tissue elastography(RTE)値は,Fontan術後7年以上経過した症例で有意に高く,RTE値はFALDが原因の肝線維症を早期の段階から反映している可能性が考えられた.エラストグラフィは,心臓カテーテル検査で得られた血行動態パラメーターと有意な相関が見られなかった.HV波形を使用したCI < 2.2 L/min/m2の診断能は,エラストグラフィの結果および血清線維化マーカーと比較して良好であった.結論:HV波形は,CIの非侵襲的に測定可能な代替マーカーとして有用と考えられた.RTE値は,術後時間の経過とともに上昇し,肝線維症を反映していると思われる.RTEとHV波形の組み合わせは,FALD患者の臨床症状をリアルタイムに評価する上で有用な非侵襲的ツールとなり得る.</p>

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 50 (5), 365-374, 2023

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (33)*注記

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