新たな教養教育像の構築に向けた試論

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タイトル別名
  • A Tentative Study toward Constructing the New Concept of Liberal Education Overcoming Neoliberalism and Meritocracy
  • ——新自由主義と能力主義を越えて——

抄録

 教養や教養主義、教養教育や一般教育に関する先行研究は数多いが、管見の限りでは、本稿のように能力主義や能力概念そのものを問い直した上で、教養教育について論じたものは存在しない。本稿では新自由主義と能力主義を乗り越える新しい教養教育のコンセプトの構想を試みることを目的とする。<br>  一般教育と教養教育に関する現状や歴史と、1990年代以降の新自由主義的高等教育改革や能力主義の台頭の問題点を概観した上で、多様性、包摂、基本的人権などの「普遍的価値観」、グローバル・シティズンシップ教育論、能力の社会モデルを踏まえ、新自由主義や能力主義を乗り越える新しい教養教育像を構想すること試みた。<br>  考察の結果、次のような新たな教養教育像を素描することができた。新たな教養教育の方向性は、能力の社会性を見据えて、人々をバラバラにする個人レベルの能力の養成と評価という分断・競争の原理に抗して、人々の連帯や連携を構築・強化するものであり、個人モデルの教養教育から社会モデルの教養教育へ移行である。‘LIPE’’(‘Liberal Inter-personal Education’)=「連携教養教育」とでも言うべき、新たな社会モデルの教養教育においては、「集合的教養」によって専門主義を脱し、集合的に、社会全体を見渡す、社会全体のことを考えるグローバルな市民を集合的に養成することが目指される。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390297582103205632
  • DOI
    10.20700/kitasatoclas.28.0_45
  • ISSN
    24240125
    13450166
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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