低体温下胸部大血管手術において,クリオ上清の人工心肺回路への先行投与により容量負荷なく術中新鮮凍結血漿・術後赤血球液使用量が削減できる
書誌事項
- タイトル別名
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- Prior administration of cryosupernatant plasma into the cardiopulmonary bypass in hypothermic thoracic aortic surgery reduced intraoperative fresh frozen plasma and postoperative red blood cell transfusion without volume overload
抄録
<p>【目的】クリオプレシピテートの副産物であるクリオ上清(CSP)の投与方法に関する報告は少ない。今回,胸部大血管手術において,CSPを離脱後ではなく人工心肺回路に先行投与する効果を後ろ向きに調査した。</p><p>【方法】2010年から2014年までに当院で行われた低体温下胸部大血管手術時にクリオプレシピテートを投与した患者を対象に,CSPを人工心肺離脱後に投与した患者をA群,人工心肺回路に先行投与した患者をB群とし,復温時フィブリノゲン(Fbg)値や輸血量などを後ろ向きに調べた。</p><p>【結果】最終的にA群25例,B群42例を解析した。復温時Fbg値はB群で有意に高く,術中新鮮凍結血漿使用総量(FFP)と術後赤血球液使用量(RBC)の減少がみられた(13.2±2.9 単位 vs 10.3±3.0 単位,P<0.001;1.8±2.5 単位 vs 0.6±1.2 単位,P<0.01)。重回帰分析では術中FFPへの影響因子が復温時Fbg値とCSP投与,術後RBCへの影響因子が術後APTTであった。</p><p>【結論】低体温下胸部大血管手術時に,CSPを人工心肺回路に先行投与すると離脱時Fbg値や術後凝固因子が高く維持され,術中FFPと術後RBCが削減された。</p>
収録刊行物
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- Cardiovascular Anesthesia
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Cardiovascular Anesthesia 27 (1), 3-11, 2023-09-01
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390297582105782272
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- ISSN
- 18847439
- 13429132
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可