温室効果ガスインベントリに基づく農業由来の温室効果ガス排出の現状

  • 土屋 遼太
    農研機構農村工学研究部門
  • 奥島 里美
    農研機構農村工学研究部門 農研機構九州沖縄農業研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Estimation of Greenhouse Gas Emission from Agricultural Production Based on the National Greenhouse Gas Inventory of Japan
  • オンシツ コウカ ガスインベントリ ニ モトズク ノウギョウ ユライ ノ オンシツ コウカ ガス ハイシュツ ノ ゲンジョウ

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説明

地球温暖化は人類の活動に大きな影響を与えており,国際社会全体で対策が行われている。農業生産も排出源の一つであり,農業施設や農業機械の使用時の燃料燃焼による二酸化炭素排出や農耕地や家畜に由来するメタンガス排出など,様々な場面で温室効果ガスが排出されている。日本国全体での温室効果ガス排出の現状を数値的に取りまとめている温室効果ガスインベントリでは,農耕地・家畜からの排出量は農業分野,燃料由来の排出量はエネルギー分野と,それぞれ異なる分野に含まれており,公開されている情報のみでは農業生産からの排出量を総合的に評価することはできない。そこで本稿では,温室効果ガスインベントリやインベントリ作成に使用された調査資料等に基づき農業に関連する排出量を再分析し,農業生産に由来する温室効果ガス排出量の総合的な評価を試みた。その結果,水田由来の温室効果ガス排出量は他の排出源より明らかに大きい一方,農業における燃料由来の排出量は農耕地や家畜と比較しても無視できない割合を占めていることが明らかになった。また,一経営体あたりの総排出量を比較すると,畜産,施設農業,露地農業の順で大きく,エネルギー分野での排出は施設農業が最大であることが明らかになった。

収録刊行物

  • 農業施設

    農業施設 50 (3), 117-125, 2019

    農業施設学会

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