ケアをめぐる交渉において子どもが直面する制約の検討――A. Senの協調的対立概念を用いて――

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タイトル別名
  • The Constraints Children Face in Intrafamily Bargaining over Care: An Analysis Using A. Sen’s Concept of Cooperative Conflicts

抄録

<p>本研究の目的は,ケアをめぐる交渉において子どもがどのような制約に直面するのかを検討することである.先行研究を含むヤングケアラーに関する議論では,他者に不可避的に依存する子どもが,具体的にどのようにケアの配置を受け入れ,どのような制約に直面しているのかが見えなくなっていた.そこで,A. Senの協調的対立概念を分析視点に採用し,18歳未満のときにケアを担った経験のある者7名を対象にインタビュー調査を行い分析した.その結果,次の2点の制約を明らかにした.第一に,他者に不可避的に依存する子どもが,ケアをやめた場合の状況の劣悪さとそれに伴う交渉力の弱さを認識するとき,不利な交渉の結果としてケアの遂行を許容する.第二に,子どもが他の家族員の利益を優先する限り,ケアをやめることが困難になる.以上の結果を踏まえ,なぜ子どもがケアを継続せざるをえないのかを考察し,制約を緩和できる可能性を示唆した.</p>

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 64 (2), 1-13, 2023-08-31

    一般社団法人 日本社会福祉学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390297681113159424
  • DOI
    10.24469/jssw.64.2_1
  • ISSN
    24242608
    09110232
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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