初診時より脾機能亢進による著明な血小板減少と呼吸不全を呈し,気管支肺胞洗浄で肺胞出血を確認した肺静脈閉塞症の1例

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  • A Case of Thrombocytopenia Induced by Hypersplenism for Severe Right Heart Failure and Alveolar Hemorrhage Confirmed by Bronchoalveolar Lavage at the Initial Visit in a Patient with Pulmonary Veno-occlusive Disease

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抄録

<p>背景.肺静脈閉塞症(pulmonary veno-occlusive disease:PVOD)は,肺静脈の狭窄・閉塞により肺血管抵抗が上昇し,肺高血圧症を呈する疾患である.初診時より肺胞出血による呼吸不全と,右心不全から脾機能亢進を呈したことによる血小板減少をきたした症例を経験したため報告する.症例.18歳男性.発熱とI型呼吸不全のために緊急入院となった.来院時著明な血小板減少(22,000/μl)を呈し,胸部CT検査では小葉間隔壁肥厚,両側胸水,両側下葉優位のすりガラス陰影と脾腫を認めた.心臓カテーテル検査で肺高血圧を認め,気管支鏡検査で肺胞出血,さらに肺機能検査では著しい拡散能の低下を認め,PVODと診断した.非侵襲的陽圧換気療法を一時要したが,体液管理と酸素投与により,呼吸状態および肺野の陰影や血小板減少は改善し,在宅酸素療法を導入し退院した.結論.PVODは不顕性の肺胞出血を呈することがあり,早期診断には,気管支鏡検査が有用であった.さらに重度の右心不全による脾機能亢進が,本症例では血小板減少をきたしたものと考えられ,教訓的なPVODの1例を経験したため報告する.</p>

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 45 (5), 313-317, 2023-09-25

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

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