ディープ・ヘッジとデルタヘッジの関連性と統計的裁定戦略の 活用

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  • Relationship between deep hedging and delta hedging: utilization of statistical arbitrage strategy

抄録

<p>オプションの価格設定とそのヘッジ問題は,金融の分野における実務的にも学術的にも重要な問題である.伝統的には完備市場のもとでのリスク中立評価に基づくヘッジ(デルタヘッジ)が試みられてきたが,近年,ディープ・ヘッジングという深層学習を用いて,不完備市場におけるオプションの最適ヘッジ戦略を計算する汎用的な枠組みが提案された.この枠組みでは,不完備市場における損失リスク最小化に基づくヘッジが行われる.しかし,リスク中立評価に基づくヘッジと損失リスク最小化に基づくディープ・ヘッジングとの間の関係は自明ではなく,ディープ・ヘッジングの実務的な利用には,伝統的なリスク中立評価との比較あるいは整合性を確かめる必要がある.また実測度下での最適化をメソドロジーとして採用するディープ・ヘッジングの枠組みでは,統計的裁定の存在によりヘッジの学習が阻害されることが知られている.そこで本研究では,統計的裁定戦略を数学的に定義する.そして複製可能な条件付請求権に対する,ディープ・ヘッジングとデルタヘッジとの間の理論的な関係を導く.具体的には,損失リスク最小化に基づくヘッジはデルタヘッジと統計的裁定戦略の和として表現される.この表現に基づいて,ディープ・ヘッジングのPnL分布の特徴を考察し,統計的裁定の存在に対してロバストな望ましいリスク尺度の議論を行う.</p>

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