Theoretical Study of “Management Philosophy as Representation”

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  • 「表象としての経営理念」に関する理論的検討

Abstract

<p>企業の「表象としての経営理念」について、理論的な検討を行う。表象とは「哲学・心理学で、直観的に心に思い浮かべられる外的対象像」であるが、一般的には「具体的あるいは抽象的な事物を、何かで表すこと」である。表象として示されるものは様々であるが、その最も根本的な要素は言葉である、とされている(涌田2016)。</p><p>したがって本稿では、「表象としての経営理念」を、書き言葉(書かれたテクスト)として示されたものと捉える。これはエクリチュールであり、経営理念の受け手である社員(すなわち読者)による多様な解釈が可能となる。また北居(1999)が示した、ロラン・バルトの文学理論に基づく、経営理念の「読者論」とも関連性が高い。</p><p>この仕組みについて、表象やテクスト論とも関係性の深い「記号論に基づくコミュニケーションモデル」を援用し、経営理念の作成や浸透について検討した。ここでは、池上(1983, 1984)が提示した、「ヤコブソンの6機能モデルを修正したハイムズ(1962)に基づくモデル」を活用した。ここで経営理念の読者である社員は、コンテクストを参照しながら主体的に解釈を行うこととなる。また日本語が、コンテクスト依存性の高い言語であるという特性も、読者の解釈のさらなる多様性を生む可能性がある。一方、このモデルでは、読者である社員同士の対話や活動を示すことができないことが課題である。</p><p>さらにこのモデルを用いて、経営理念の変化、すなわち新たな表象としての経営理念の作成と変更についても検討を行った。表象としての「経営理念の変化」は、重要な経営理念研究のテーマと思われるが、経営理念浸透に比べるとその注目度が少ない。このモデルを用いると、加藤(2016)によるミツカンの事例研究での「経営理念の変化」についても、わかりやすく示すことが可能であった。</p><p>これらは社会構成主義、ポスト構造主義に基づく視座であり、研究方法としては質的研究やディスコース研究が望ましいと考えられる。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390297814402473088
  • DOI
    10.50874/jmp.20.1_2
  • ISSN
    24362271
    18843476
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
  • Abstract License Flag
    Allowed

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